学長あいさつ

学長あいさつ

あらゆる存在に価値を認めるこころ

 密教の大切な教えに「あらゆる存在の価値を認める」という立場があります。この世に存在するもので、何一つ無駄なものはなく、それぞれの存在が本来持ちあわせている価値を感じ取るために自身の眼を育てることが大切であるという教えです。

 弘法大師空海は、「すべての存在は仏である」との教えを示し、価値あるあらゆる存在から学ぶことの大切さを私たちに伝えています。私たちは、目に見えるもの、目に見えないものを含む周囲の存在との関係性により「生かされた存在」であり、大自然や様々な生き物から学ぶことの大切さをお示しになられています。

 

 現代社会は、「物質中心主義」ともいうべきあらゆるものを分離、比較し、優劣をつけようとする考え方が主流となっています。そのような状況の中で、現代を生きる我々に必要とされるのは「命を育んでくれる周囲の存在に感謝する心」です。1200年の伝統を継承する高野山は、我々の感性を磨くのに最適な環境であるといえます。高野山そのものをキャンパスとする高野山大学での学びにより、今後の人生の生き方に関する様々な指針を得ていただければと思います。

令和7年4月1日 高野山大学長

松長潤慶